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血液型と性格

・信者は7割!
 『血液型が人の性格と関係があると思いますか?』というアンケートの結果は「何らかの関係がある」と答えた人がNHKの調査で75%、毎日新聞で64%でした。 つまり、約7割の人が「YES」と考えているということです。 これほど“血液型性格診断”は広く日本社会に浸透しているのです。
 これが「大学生の合コンを盛り上げる話題」で済んでいる内は何の問題もありません。 しかし、それが就職、昇進、結婚、教育にまで陰を落とすようになると、もはや安穏としてはおられません。 実際に、女子社員にA型とO型しか採用しない会社があったり、新製品の開発をAB型社員だけのプロジェクトチームを作ったという某有名メーカーが話題になったり、 血液型ごとに模様の違うシャツを着せる保育園が出現したりすれば、もうこれは一種の≪信仰≫と呼んだ方が良さそうです。

・さだまさし&血液型
 え〜、何を隠そう、小生は“さだまさし”の大ファンなのであります。数ある彼の歌の中に『恋愛症候群』という名曲があります。 「開き直らねば何も出来ず、ただ暗く爪をかみ、目が点になってタメ息ばかりのA型」、 「他人の事など考えられず、大切な花畑、平気で踏み荒らしてヒンシュクをかうB型」、 「今日と明日では自分同士で意見が分かれて、熱しやすく冷めやすいAB型」、 「その内なんとかなるんじゃないかと思っている内に、自分だけ忘れ去られているO型」…。
 そして、さらに『もう一つの恋愛症候群』では、「なにしろ気がつきすぎるから人の悩みまでしょい込んで、疲れたあげく人にうとましがられるA型」、 「気がむいたら異常に優しいけれども、滅多に気が向かず、すぐ根に持ち、我ままでも恨まれないB型」、 「回りの状況はひどくクールに判断するくせに、自分のことは何も見えないAB型」、 「信じやすく騙され続けて、もう騙されるもんかと誓った翌日に、また騙されるO型」…と(もっともらしく、面白おかしく)歌っているのであります。

・かもたつ&血液型
 もう一人、実は嘉門達夫の(隠れ)ファンでもありまして…。『血液型別ハンバーガーショップ』では、 「やたら細かく神経質なA型」、「人を支配したがり、将来大物になるかも?のO型」、「二重人格でクールかつ我ままなAB型」、 「ちゃらんぽらんで自由奔放なB型」…と歌っています。 ただ、彼自身も「人間の性格が、たった4種類に分類される訳ないけど〜」とアッサリ認めています。
 さすれば、色々な次の手を考え出す人々がおられまして、『24の両親血液型』:例えば、同じAB型でも、両親の血液型の組み合わせによって「AとB」、「AとAB」、「BとAB」、「共にAB」の4種類に細分化して、 合計24種類の性格を作り出す方法。 また『16の裏血液型』:つまり、一般的な血液型を「表の血液型」とし、潜在的に隠れている性格を「裏の血液型」と称して、 4×4=16の種類を作り出す方法なども登場しているのであります。

・血液型の歴史
 そもそも、血液型の発見は1901年のことで、オーストリアの病理学者ラントシュタイナー博士が、他人の血液を混ぜ合わせると、もとの血液が固まってしまうことがある現象から、それが赤血球の型によると見だした時点に始まります。 「全身をくまなくめぐっている血液は、人間の体質や性格、能力までにも影響しているだろう」と単純に考えられたのが発端のようです。 そして、このような考えはヨーロッパで広まり、上流階級と労働者階級の違いは生まれるつきの優劣であり、アジア人が劣等であること(ヨーロッパ人はA型が、アジア人はB型が比較的多い)もすべて血液型で証明できる(B型劣等論)とされました。 日本でも犯罪者や兵隊の階級と血液型が結びつけられて考えられた時期があったそうです。

・さ〜て、結論は?
 血液型と性格は本当に関係があるのでしょうか? また、それが戦後になってからも、なぜ日本だけで生き残って“血液型性格診断”なるものに姿を変えて生き残ったのでしょうか?  実際に今でも能見(のみ)一派の「血液型人間学」などは健在です。 しかし、99.99%の学者は「血液型と性格が関係あるかどうかという話題」には、見向きもしないのです。 信者様には申し訳ありません。 「でも、ヤッパリ…」ですか?

参考図書:「血液型と性格」大村政男 「カラダの不思議を愉しむ本」佐藤拓 「性格の秘密大研究」PHP研究所 「血液型」南山堂医学大辞典

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