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タバコの功罪

・古今東西の名優とタバコ
 タバコの吸い方がとてもスマートで、サマになっている人の姿を見るのは悪くないものです。 『カサブランカ』のボギーことハンフリー・ボガード、『さらば友よ』のアラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン、 日活アクション映画全盛時の石原裕次郎など数え上げたらきりがありません。 また、女優でも『ティファニーで朝食を』のオードリー・ヘップバーン、『俺たちに明日はない』のフェイ・ダナウェイ…。 さりげなく口にする一本のタバコ。 ゆったりと紫煙をくゆらせている姿のかっこ良さ。 確かにタバコは数多くの作品の中で欠かすことのできない小道具になってきました。 今の中学高校生の未成年者がタバコを吸うのは、正にこのかっこ良さに憧れて背伸びをしているにすぎません。

・タバコは本当に『百害あって一利なし』か?
 最近の嫌煙権運動には、すさまじいものがあります。 今やアメリカでは「タバコを吸う人間はインテリジェンスに欠ける」という烙印を押されてしまうほどです。 そもそも“タバコ病”とはタバコが原因となっている病気をいい、 皆さんよくご存じのことだろうと思います。 つまり、タバコを吸っている人は吸ってない人に比べて、これらの病気に数倍かかりやすいというのです。 しかし、一方では愛煙家たちは「日本の喫煙率はドンドン低下しているのに、肺ガンは逆にふえている」 「先進国の中で日本の喫煙率はトップクラスなのに平均寿命は世界一である。 かつて我国最高齢者の泉重千代さんも愛煙家だった」「“百薬の長”といわれるお酒で毎年多くの人が急性 アルコール中毒で亡くなっているが、急性タバコ中毒で死んだという話は聞いたことがない」 「ある人にとっては、喫煙はストレス発散にきわめて有効である」 「受動喫煙は“ガス室”と同じだとか、タバコを吸うと肺が真っ黒になってしまうとか… あまりにも誇張されすぎたマスコミ報道が多すぎる」等々と反論しています。

・名言『今日も元気だ、タバコがうまい!』
 それでも、現在はタバコ公害が強く叫ばれ、健康に対するタバコの有害性が強調されています。 ですから医師としては、保健衛生学的見地からすれば、この主張に賛同せざるを得ないわけです。 しかし、その一方でなぜタバコだけがこのように超悪者扱いをされるのか?  世の中には、もっともっと健康に悪いものが存在するのに… という疑問も正直感じています。 たとえばタバコの一酸化炭素や発ガン物質のことをいうならば、車の排気ガスや各種産業廃棄物の 桁違いに多い有害性をもっと取り上げるべきでしょう。 そして「排気ガスをまき散らして車を運転する人はインテリジェンスに欠ける」 というべきではないでしょうか。 小生も20〜40歳の間、喫煙者でしたから、両方の気持ちがわかるつもりです。 『意志が弱くてタバコをやめられないのではない。意志が強くてやめないだけのことである』というセリフはもうひとつですが、 『今日も元気だ、タバコがうまい!』の方は個人的には名言だと密かに感じています。 二日酔いや風邪引きなどで体調が悪いとタバコはまずく、 タバコをおしいく吸うためには健康が第一?だと実感している人は多いはずです。

・嫌煙権VS喫煙権
 タバコが『百害あって一利なし』と決めつけるのはいかがなものでしょうか。 嫌煙権があれば喫煙権もあるはずです。 クスリに主作用と副作用があるように、 世の中、全ての物事には必ず善悪両面があるのです。 かつてのアメリカで失敗した“禁酒法”と同様に、もし“禁煙法”を作ったとしても 何の解決にもならないでしょう。 タバコは大人の嗜好品です。 タバコを吸うのにマッチやライターが必要なのと同じように、 常識的なマナーが不可欠です。 周囲にタバコの嫌いな人がいたら当然吸わないのがエチケットであります。 しかし、実際は残念ながらマナーの悪い喫煙者がきわめて多いといわざるを得ません。 路上のタバコのポイ捨ては喫煙者の恥さらし!  車から吸殻を山のようにまとめて道路にまき散らすのは正に犯罪行為であり、 そんなドライバーはそれこそ人格障害者といわれてもしかたありません。 吸う人も、吸わない人もお互いもう少し冷静になって、 もっと上手にタバコと付き合える方法を考えていきたいものです。

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